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記憶のカケラが再び情熱に火を灯すとき

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初めて小説らしきものを書き上げたのは、
小学4年生のときでした。

当時SFがブームを巻き起こし、
ドラマやアニメ化もされていました。

そんなタイミングで、
私の中に、小さな小さな毛糸玉ほどの世界が
ぷくりと浮かび上がってきたのです。

カタチも定かではなく、はかないけれど、
それは確実に大きく膨らんでいき、
いつしかペンをとって書き始めていました。

その頃はパソコンはおろかワープロも普及しておらず、
原稿用紙にペンで書く、アナログな時代です。

お金を貯めて買った万年筆にインクをつけつつ、
原稿用紙のマスに文字を綴っていく。
その作業がとても厳かなことに感じられ、
どんどんのめり込んでいきました。

テーマは「目に見えるものが真実なのか」
ということでした。
SFの影響を多分に受けていたのでしょう。
異空間、異次元の世界。
それらはとても魅力的で創造力を
たくましくしてくれていました。
 
原稿用紙にして100枚ほど書き上げたでしょうか。
最後のマスに『了』の一文字を書き込んだ瞬間、
なんともいえない感情が押し寄せてきたのを、
今でもしっかり覚えています。

その原稿を募集していないにもかかわらず、
月刊誌として発売されていた
とある小説雑誌の編集部にあてて郵送しました。

物事の分別がつく年代になってから、
なんという『大胆不敵』かつ『はた迷惑』
なことをしてしまったのかと
自身の厚顔無恥さにあきれたものです。

小学生の落書きのような原稿など
ゴミ箱に捨てさられるのが関の山。
常識的に考えるならば、
そうなっていてもおかしくありません。

ところが幸いなことに
私が初めて書き上げた小説は、
ゴミ屑として扱われることはなかったのでした。

どうしてそれがわかったのかというと!
送ったことさえ忘れていた私のもとに、
一通の手紙が届いたからです。

しかも・・・・。
その手紙の差出人のところには、
編集者の方ではなく、著名な作家の方の
お名前が記されていました。

小学4年生の子どもにあてた文面ではなく、
作家のたまごに対しての批評がそこに綴られていました。

一言一句までは記憶してはいませんが、
大筋の内容としては次のようなものでした。

発想、着眼点、世界観には光るものがあるけれど、
それに言葉の表現が追いついていない。
これから様々な経験をしていくことで、
文章にも深みがでてくるだろう。
だから、がんばって書くことを続けなさい。

大まかな内容としてはこんな感じだったと思います。
読み終えたときにはそれはもう、
天まで昇るような夢心地でしたよ。
作家になる才能が私にはあるんだ。
なんて、調子に乗ってしまいましたね。

大人になるにつれ、それが簡単ではなく、
作家への道は、遙かなる彼方へ
どんどん遠ざかっていきましたから。

子どものときはなにも考えず、
本能のまま、欲望のままに行動できます。
何者にでもなれる夢と可能性という宝物を
たくさん抱えている時期でもありました。

そのときの勢いのまま大人になれたら
どんなによかったことか。

ただ一定の年代を越していくと、
肩の力がふっと抜けてくる瞬間があるのです。
まさに今年がそんな感じでしょうか。

55歳を迎える年となって、
ただただ、書くのが楽しかった純粋な気持ちに
立ち還っていくような気がします。

また物語を紡いでみたくなりました。
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